日本初「クマよけスプレー搭載ドローン」を開発・発売開始
クマと直接向き合わない新たな防護策で現場の安全を支援 ―
東京都渋谷区を拠点にドローンソリューションを提供する Terra Drone株式会社(代表:徳重 徹)は、クマよけスプレーを搭載したドローンの開発を完成させ、販売を開始したと発表しました。
同社によれば、これは国内初の試み(※同社調べ)。
夜間や藪地など視認性が低く、作業中の安全確保が難しい環境で、クマに近づかずに遠隔から対応可能な手段として期待されています。
背景:クマ出没と人身被害が過去最高水準
2025年、日本各地ではクマによる人身被害と市街地近くでの出没が記録的な水準に達しています。
環境省のデータでは、4月以降に負傷者100人超・死者12人超となり、特に東北地方で深刻な状況です。
住宅地・学校・商業施設近くでの目撃も相次ぎ、秋田県では目撃件数8,000件超(前年の約6倍)に達しました。
事態を受け自衛隊が後方支援に入るなど、自治体・行政も対応を強化しています。
このような現場では、ハンターの高齢化や地域での運用体制の制約、致死的手段の是非に関する住民との調整など、安全確保と配慮の両立が課題となっていました。
製品概要:上空から「非致死的クマ対策」へ
この新製品では、遠隔操作可能なドローンにトウガラシ由来の辛味成分「カプサイシン」を主とするクマよけスプレー缶を搭載。
上空からクマの側面・背後から噴射でき、風向きを待つ時間を短縮しながら最小限の量で応急対応を可能にしたものです。
唐辛子スプレーは、クマの猛烈な嗅覚に作用し、突進や接近を阻止するための“時間稼ぎ”を目的とし、北米でも高い抑止効果が報告されています。
機体は、FPVジンバルカメラを装備しコントローラーで映像を確認しつつ操作可能。GPS位置制御で屋外安定飛行が可能な設計となっています。

主な特徴・仕様
- スプレー缶を搭載:上空からの噴射を実現
- FPVジンバルカメラ装備:映像を確認しながら操作可能
- ワンボタン噴射:コントローラー操作で遠隔噴射
- GPS‑Position飛行モード:屋外環境でも安定飛行
- 飛行時間:約10分
- 機体サイズ:390mm×390mm×390mm
- 通信距離:12km(2.4GHz帯)※2026年3月までに飛行時間約75分・赤外カメラ/可視光カメラ搭載モデルを開発予定とされています。
今後の展開:自治体との連携で現場導入を加速
Terra Droneは今後、自治体を中心とした運用体制の構築を進めます。
地域の測量会社・防災事業者と協定を結び、オペレーターの講習・保守体制を含めた運用支援を展開。
クマ対策の持続的な仕組み作りと、住民の安全確保・現場リスクの低減に貢献することを目指しています。